本題に入る前に、この手引きが約半年に渡り更新されなかったことを謝りたい。
私の怠慢だ。
申し訳ない。
この手引きを再び活用する君に、感謝する。
目次
魔法文字とは
久々の手引き再開となる今回は、魔法文字と呼ばれる特殊なアルファベットについて記す。
ここでいう特殊なアルファベットとは、
にてチラッと触れた魔法文字(秘密文字、神秘文字、天使のアルファベットなど、魔術関連の書物に多く記される文字)のことである。
もちろん、魔術に関係のない特殊なアルファベット、あるいは、特殊文字が、世の中には無数にある。
メールやコメントで使用する顔文字も、特殊文字といえるだろう。
また、神聖なる文字と呼ばれるヒエログリフ(象形文字)や梵字(サンスクリット表記文字・神仏を表す文字としても用いる)、ルーン文字などは、魔術…とくにケイオスマジックでは、使用する可能性のある特殊文字だ。
だが、今回から続く一連の魔法文字_magical alphabet_は、基本的にヘブライ文字の特殊なアルファベットとなる。
そう、ヘブライ文字だ。
魔術におけるヘブライ文字
の手引きに、יהוה 、אלהים 、אדני など、ヘブライ文字の名を記した。
の手引きで、ヘブライ文字について簡単な説明を記した。
それらの中では触れなかったが、君も思っただろうか。
なんで、ヘブライ文字なの?
と。
魔術を知るほどに湧くこの疑問に対する明確な答えを、私は持たない。
あえて推測するならば、これらの文字に魔力があるから、
となるだろう。
そして、その魔力を与えたのは、歴代の魔術師たちだ。
ヘブライ文字は、ヘブライ語を表記する文字として、実際に今も通常言語として使用されている。
ヘブライ文字には魔力があるといったが、日本語で「今日は土曜日だ」「明日の3時に駅で待ち合わせ」といった日常の文に使われるヘブライ文字に魔力はない。
なぜか?
それは、魔力のある文字として使用していないから。
魔力のある文字として用いてはじめて、そこに魔力が生じるのだ。
思い出してほしい。
にて、思考についてこう記した。
思考の現実化は、実際に起こる。
ただし、現実化するのは、自分が現実になり得ると信じる思考であり、現実ではないと信じる思考は現実化しない。
と。
それと同様に、
魔力ある文字として(魔力ある文字と信じて)用いることが必須なのだ。
そして、
これまでに数多くの魔術師たちがそうしてきた(魔力ある文字と信じて用いてきた)その過程で、宇宙エネルギーによってそこに生じる魔力が認識されていったのだと思う。
(あくまでも、私の見解だ。)
そもそもの始まりに、「なぜヘブライ語が使われたのか?」は、カバラに基づいた魔術の発展が理由かもしれないし、旧約聖書がヘブライ語で記されているからかもしれない。(聖なる名の多くは、psalm(サーム)から来ている)
正解はわからない…が、ケイオスマジシャンとしてはかまわない。
たくさんのグリモワールに記されたヘブライ文字に魔力を感じるなら、それで充分だ。
君も、そうだろう?
魔法文字の使用について
さて、実際の魔法文字を紹介する前に、その使用について記しておく。
魔法文字を用いる場面は、大きく分けて二つある。
タリスマン・アミュレットの作成と
シジルの作成だ。
タリスマン・アミュレットにおいて魔法文字を用いるのは、主にDivine Name であり、ときに自分・他者の名にも使用する。
シジルにおいては、Divine Name に加え、スピリットの名、いずれ手引きする予定のサービターの名に魔法文字を使用する。
(もちろん、ケイオスマジックでは、上記以外にも魔法文字を使ってOKだ。)
タリスマン・アミュレットにおける魔法文字
タリスマン・アミュレットに記す Divine Name(+祈りや呪文)
宇宙エネルギーを作用させるアイテムであるタリスマン・アミュレットを作成する際、Divine Name(神聖なる名)を用いることは多い。
なぜなら、
でいったように、
Divine Name は、神(と呼ばれる存在)を表す名であり、宇宙エネルギーの呼び名であり、天使の名であり…つまりは、人間の叡智を超える存在を呼ぶ名であるからだ。
自分より大きな力を持つ存在からその力を得たいと考えるのは、不自然なことではないだろう。
例えば、自分を守護するためのアミュレットの作成には、守る力のある Divine Name を記し、自分の魅力を高める目的で作成するタリスマンには、魅力を高める力のある Divine Name を記す…そうすることで、タリスマン・アミュレットに望むパワーが備わる。Divine Name 以外に祈りや呪文を記すことも同様だ。
この Divine Name、そして、祈りや呪文を、魔法文字で記すのである。
(タリスマン・アミュレットのパワー…自分の望む類の宇宙エネルギーを引き寄せる媒介としての質…をアップさせるには、Divine Name を含むそれらの力を自身が信じることが不可欠である。詳しくは、タリスマン&アミュレット(護符魔術)を見てほしい)
あらためていっておくが、Divine Name が表す存在の真偽は関係ない。
自分より多大なパワーを持つ「何か」の力が、自分一人では難しい望みの実現を可能にしてくれると信じる故に、Divine Name は力を持つ。
宇宙エネルギーを自在に扱う力が自分にあると100%の自信を持って断言できる者に、Divine Name は不要である。
タリスマン・アミュレットに記す自分・他者の名
タリスマン・アミュレットに自分・他者の名を記すのは、限られた場合のみだ。
基本的に、魔術のアイテムに自分の名を記すことはない。なぜなら、名にはパワーがあり、とくに、自分の名を自分で記したもののパワーは大きい。それが他者の手に渡れば、悪用される危険が生じるからである。
では、どういう場面で、自分の名や他者の名を使用するのか。
代表的なのは、恋愛成就など人物の指定(自分と相手など)を要するタリスマンを作成する場合だ。自分の名と相手の名を共に記したり、2人の名を組み合わせた文字を記す際に使用する。
また、多くのタリスマン・アミュレットは身につけることでパワーを得るため、影響を与える人物の名の記載を必要としないが、中には、必要なものもある。
それらの場面において、人の名を魔法文字を用いるのは、ただローマ字で名を記すより秘匿性が高いことは利点といえるだろう。
シジルにおける魔法文字
シジルは、主に2種類ある。
シジルマジックに用いるシジルと、召喚魔術に用いるシジルだ。
シジルマジックに用いる魔法文字
シジルマジックでは、シジルは自分で作成する。
(望む現実を表すシジルを円の中に描いたものが基本となる)
その外側に一回り大きな円を描いて二重円にすると、二つの円の幅の差に空白ができる。そこに、四元素のエナジーや7惑星+3のエナジーを付加するシンボルを描くことを手引きに記した。
参照
シジルを囲む円を二重に描くと生じる帯状の空白。特定のエナジーをシジルに付加するために、太陽や金星のシンボルを描いたその部分に、Divine Name を記すことができる。
Divine Name が付加するのは、そのパワーと守護だ。
この場合の Divine Name は魔法文字ではなく、普通のヘブライ文字で記すこともある。
中はカラだが、参考までに ↓ 魔法文字の Divine Name を記したシジル(の枠)
魔法文字を使用する意味を、今回の手引きの最後に記してある。
シジル作成時に Divine Name を付加する際は、好きな文字を選ぶといい。
召喚魔術に用いる魔法文字
召喚魔術において、魔法文字を記す場面は三つある。
ひとつは、スピリットに要求できる権威を得るための言葉として唱える Divine Name を、そのパワーを増大させるためにスピリットのシジルの二重円に描く。
魔法文字・普通文字ともにOK。
参考:ラファエルのシジル ↓ 普通文字で記してある。
二つ目は、その力を制御する必要のある(と、自分が思う)スピリット(悪魔と呼ばれるスピリットやサービターなど)を囲む三角形を描く際、その外側に、主にバリア(結界)目的のために Divine Name、あるいは制御する力のあるスピリットの名を描く。
これは、言わば、安心感を得るためだ。召喚するスピリットが自分に害を及ばすことへの不安を減らすため…こうしておけば安心だ、と。
天使も悪魔も妖精も同じ。自分が召喚するスピリットを制御する必要などない。
そう思えない場合に用いるとよいだろう。
魔法文字・普通文字ともに可。
そして、三つ目は、グリモワールなどで過去から長きに渡って用いられているシジル(知られているシジル)のないスピリットを召喚する際、そのスピリットのシジルそのものとして、スピリットの名を魔法文字で描く。
魔法文字推奨。
(理由は、今回の手引きの最後、魔法文字を使用する意味に記してある)
シジルにおけるサービターの名
さて、サービターである。
まだ手引きしていないが、ケイオスマジックには欠かせない(と私は思っている)技法であるサービターは、ザックリいえば、自分だけに使役する、自分の望みに特化したパワーを持つスピリットだ。
君だけに使役する、君の望みを実現するパワーを持つサービター…このサービターは、君自身の手によって生み出される。
それを、サービターマジックという。
サービターを生み出す過程で、そのサービターのシジルが必要となる。
そして、もちろん、そのシジルは自分で作成する。
シジルマジックにて作成・使用する望む現実のシジルのように、サービターの図柄を作るのだが、それに加えて、サービターの名を魔法文字で記したものをシジルとするのだ。
名には力が宿る。
魔法文字でシジルに名を記すことで、君のサービターはそのパワーを増すだろう。
サービターマジック…遠くない未来に、ぜひ手引きしようと思っている。
魔法文字を使用する意味
最後に、魔術において魔法文字を使用することの意味について記す。
なぜ、魔法文字を使うのか?
この疑問に対する明確な答えも、私は持たない。
よって、ここからは私の見解となる。
そして、それはひとつだけ。
魔法文字を用いるのは、
そのほうがその気になるから。
これに尽きる。
その気とは、
機能する魔術を行っているという気持ち・感覚だ。
ラフにいうと…
特殊な文字で書いたほうが魔術っぽい。
魔法文字のほうが特別な感じ。
いかにも秘儀っぽい雰囲気になる。
魔法文字のほうが効き目がありそう。
…といったところか。
そして、その気になれるというのは、機能する魔術を行うにあたり、
絶大な効果をもたらす要素である。
魔術以外の分野でも、特殊な文字を使うのは、通常の文字で描かれたものと差別化を図るためだろう。書類のタイトルに装飾系のフォントを使ったり、文中で重要な文字だけフォントを変えたりするのは一般的に行われている。
日本のハンコが、とくに顕著だ。ただの認印(シャチハタなど)は、名字が読める普通の字体(楷書体や行書体)が常だが、実印の多くは印相体や篆書体であるものが多い。
ウネウネした線で描かれた印相体の漢字は、元の字(普通に読める書体の字)を知っていればなんとか読めそう、といった文字だ。
例:印相体の『山田太朗』 →
読みにくい特殊文字を実印に使用する意味は、そのほうが重要に見える・立派に見える・かっこいいからだと思われる。
例えば、賞状に押してある贈呈者(山田太朗だとして)の印が、普通に読みやすい『山田太朗』印だったら…ちょっとばかり残念な雰囲気になるだろう。
日常で特殊文字を使用するのと魔術で特殊文字を使用する意味は、あまり変わらない。
そして、魔術における特殊文字が、魔法文字となる。
「オレはノニクの考えとは違う」
「魔法文字を使う必要はなさそう」
「ふつうのヘブライ文字でいいや。ていうか、英語でも日本語でもいいじゃん!」
そう思うなら、それでOK。
君の魔術は、君によって選択され、信じられ、実践されるのだから。
これは、ケイオスマジックの手引きだ。
私の役目は、魔術の技法を記し、選択可能なオプションを君に提示することである。
選び、信じ、行うのは、君自身だ。