魔術を行うための準備その③ 魔術に必要な思考(望み)

魔術を行うための準備その① 魔術の肯定 で、魔術が機能する動力源となるのが思い(思考・感情)だと言った。

まずは、この思考について説明する。魔術の実践のための準備として、知っておこう。

思考とは

思考とは、何かについて思いを巡らせ、それについて考えること(精神の活動)である。

何かに心が動くこと、何らかの目的を達成する方法や解決策を得るための情報処理、そして、想像も思考だ。

朝目覚めてから夜眠りにつくまで、人は常に思考し続けている。

・あーまだ眠い。あと5分~。

・このパンおいしい。また買おう。

・今日は雨が降りそうだから、傘を持っていこうかな。

・おっ! 好きな作家の新作が出るって。楽しみだ。

・さっきの店の店員、かわいかったな。今度誘ってみようかな。うまくいったら、超ハッピー!

・道混んでるな~急いでるのに~

・あれ? リモコンどこやったっけ?

・最近、朝方寒くなってきたから、そろそろ布団出さないと。風邪ひいちゃう。

こんなふうに。

何も考えずにぼうっとしているつもりでも、実際は何かしら考えているもの。心を空にする訓練でもしていない限り、頭や心に次々と浮かんでくる思考を止めるのは難しい。

意識して物事に対して展開する考えも、何の気なしに湧いてくるとりとめのない思いも。それらはみな、君の精神の活動であり、思考である。

その中で、何かを欲すること……何かを得たいという思考が、望みである。

望むという思考

目的とする現実

望み、願い、欲求……(自分が)こうなりたい、(他人や状況が)こうなってほしい、(物質・精神)これを得たい、など。

これらを実現するために、魔術を行う

(ほかの理由で魔術をやる人もいるかもしれないが、その前提で話を進めていく。また、「寝坊しない」など否定の望みは、「予定した時刻に起きる」など肯定のものとして考える)

魔術を行うには、この望み、つまり、目的とする現実が必要だ。

様々な事象が複雑に作用して成る幾通りもの現実のうち、可能性の高い低いにかかわらず、君が選ぶもの。

中には、自分の意思と行動だけで実現するものもある。

たとえば。

昼食にカレーライスを食べたい。

この望みは、自分でカレーライスを作る。カレーライスを提供する店に行って注文するなどで実現できる、可能性としてはかなり高い現実だ。

このような望みを魔術で叶えようとする人は、ほぼいないだろう。

不可能ではないが、自分の力だけで実現する可能性はごく低い。けれども、魔術を使えば(宇宙エネルギーが、今ある現実を望む現実にするために必要なイベントを、ベストなタイミングで引き起こしてくれるなら)、実現可能だと思える現実

それを望む場合に、魔術はもっとも有効なスキルとなる。

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思考の現実化では難しい望みも、魔術を使えば実現できる。

なんで?

望む未来を考えると現実になるっていうセオリーは、魔術よりよっぽど多くの人に認められてるじゃん!

君は、そう反論するだろうか。

その通りだ。

思考の現実化は、実際に起こる

ただし、現実化するのは自分が現実になり得ると信じる思考であり、現実ではないと信じる思考は現実化しない。

(悲しい恋の成り行きや失恋の心理状態、恐怖体験、刑事事件の描写などを毎日のように考え、想像して小説を書いても、考えたことは実現しない。それがフィクションであり、自分の現実ではないと知っているからである)

そして、魔術のツール(スピリットの力やシジルなど)を使用しないため、自分が可能だと思える事象は、無意識にその範囲を限定してしまう場合が多い。

普通に考えて無理だと思う事象でも、可能だと信じる…それを容易くできるのが、魔術というスキルなのだ。

(思考の現実化についての詳細は、必要があれば各自で情報収集してほしい)

思考の流れ①

さて、望む現実を考える……そのときの思考の流れは、大きく分けて2種類ある。

例をあげてみよう。

●あの車がほしい。(あの車を所有しているという現実を望む)

●ステキな恋人がほしい。(ステキな恋人がいるという現実を望む)

このふたつの望みは、それぞれのスタートは同じでも、異なる思考になっていく。

ひとつは、望む現実を得るための方法などを模索する思考。

●あの車がほしい。

→買うお金を貯めよう。

→節約すれば月に○円ずつ貯金できる。

→そうしたら車を買おう。

●ステキな恋人がほしい。

→もっと出逢いの場を増やさなきゃ。

→何か趣味のサークルに参加するのもいいかな。

→出逢いがあっても自分に自信がないと積極的になれないかも。

→もっとオシャレな恰好しなきゃダメだな。

→旬な話題にもついていけるように流行りもチェックしよう。

こういう感じだろうか。

思考の流れ②

もうひとつは、望む現実を得た状態を想像する思考。

●あの車がほしい。

→あの車でドライブに行こう。

→好きな音楽をかけて、大声で歌ってもいい。

→いつも電車で行ってたあそこも車で行けるから楽だな。

→荷物がいっぱいあっても余裕だ。

●恋人がほしい。

→恋人ができたら行きたいところがいっぱいあるな。

→この間言った店、おいしくて雰囲気よかったから、絶対行かなきゃ。

→ディズニーランドもね。おそろいの耳つけて写真とるんだ。

という感じだ。

恋人(車)がほしいという望みが、一方は、恋人(車)を得る方法を模索し、自分のすべきことや必要なものへと焦点が移っている。

もう一方は、恋人(車)がほしいという望みが、恋人(車)をすでに得ている状態の想像へと変わっている。

こうなると。これらの思考は、もはや同じ望むという思考ではない。

思考の流れ③

そして。実は、望むという思考の流れにはもうひとつある。

三つめのそれは。

望むという思考にとどまり、ただその思考を強めていくものだ。

●恋人がほしい。

恋人がほしい。

恋人がとてもほしい。

恋人がどうしてもほしい。

恋人を何としても手に入れたい

喉から手が出るほど恋人がほしい

他に何も考えられないほど恋人がほしい!

というふうに。

これは目的とする現実ではなく、それを望むという心の動きだけに固執した思考であり、皮肉なことに、強ければ強いほど、目的とする現実から離れていく思考である。

なぜなら。

○○を望む=○○が今はない状態

○○を強く望む=○○が今はない状態であることを強く実感する

となるからだ。

引き寄せの法則では、この思考はよくないとされている。理由はもちろん、望む現実ではなく、それを得ていない現実(今)にフォーカスしているためである。

では、魔術ではどうだろうか。

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魔術に必要な思考

魔術に必要なのは、目的とする現実を望む思考である。

そして、それは感情を伴うものでなければならない。

思考が精神活動である限り、どんな思考にもいくらかの感情は伴うだろう。

(感情を交えない論理的な思考というのもあるが、これは思考の過程で感情が生じても、その影響を受けずに展開していく思考のことをいう)

そして、その感情を強められるものが望ましい。

先ほどあげた3種類の思考がすべて魔術に使えるのかというと、NOである。

魔術に使えるのは、望む現実を得た状態を想像する思考と、望むことにとどまる思考だ。

意外だろうか?

特に、望むことにとどまる思考が使えることに疑問を感じるかもしれない。

望む現実を得るための方法などを模索する思考

これは、ほかのふたつと比べて論理的である。方法を考えるには、筋道を立てて考え、その結果をシュミレーションしていく必要があるからだ。

持てる知識を活用し、どうしたらいいのかを考えるのは、あまり感情を生じる思考ではない。

この思考が使えないのは、生じる感情が弱いためである。

もちろん、その過程で、たとえば……節約するなら毎日のランチを安くしないとな、趣味に使うお金もひかえなくては、などと考え、嫌だな~という感情は湧くかもしれない。

けれども。

その感情を強めて、安いランチにするなんて本当に嫌だ、そこまでしてほしくない、という思考になってしまうのは本末転倒である。

さらにいうと、望む現実に至る過程は、指示するべきではない

目的とする現実を引き起こすために必要なイベントは、その内容もその時期も、すべて宇宙エネルギーが決める。

ときに、私たちが思いもよらぬ過程(イベント)を経て、目的地に辿り着く。

私たちが細かな指示を出すことは、宇宙エネルギーの選択肢を減らすだけ……かえって邪魔になるのだ。

例外として、よりスムーズに魔術を機能させるために、望む現実への障害となるものを排除する魔術を先に行う場合がある。

ステキな恋人がほしい例では、ステキな恋人がいる現実への障害として、自分には人見知りで異性の前では緊張してうまくしゃべれないという性質があるとする。

この場合、恋人のいる現実を望む前段階として、初対面の人・異性の前でもリラックスして堂々と話ができる自分という現実を先に整えた方がいい。

そうすることで、本来の目的である恋人のいる現実を得るための魔術が機能しやすくなるのだ。

望む現実を得た状態を想像する思考

これは想像するのは自分が望んだ状態であるため、喜びや満足感などの感情を伴う。

この感情を強めるのは可能かつ楽しいもの。実際に心拍数が上がるほどうれしい興奮を味わえるかもしれない。

もちろん、想像してみたら問題点や好ましくない点に気づいて嫌だなと感じるなら、望み自体の取り消しを考えるだろう。

この思考が使えるのは、喜びや満足感といった感情は心地よく、強めるのに抵抗はないからである。

加えて、想像力を高めれば高めるほど、これらの感情もより強くしていくことができる。

この思考は魔術に欠かせないものである。

望むことにとどまる思考

望むという思考にとどまる場合、そこに生じる感情は欲望そのもので、強めると嫉妬や焦燥感、不満、怒りなども生じ得る。

これを強めるのは可能……というより、望むという思考にとどまっていると感情は自然に強まる傾向がある。

ただし、その多くが、いわゆる負の感情に向かっていくのは否めない。

この思考は、負の感情を生じさせやすく、それは、負のエネルギーを有するとされるもの。

けれども。

魔術では使用できる

呪いは無論だが、ポジティブな望みの場合にも、怒りや悲しみなど負の感情を使うことのできる技法はある。

そもそも、魔術において、エネルギーに正も負もない。魔術における感情の利用方法は、引き寄せの法則と同じではない。

そして、行う魔術の種類によって必要度・使い方に違いはあるが、魔術において感情は、思考と同様に重要な要素である

次回は、感情について記すので、今回の思考とセットで理解を深めてほしい。

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