前回から間を開けてしまい、申し訳ない。
今回は君の名を表すシジルの作成方法を記す。
名を表すシジルは、日本人名の場合、ローマ字表記した名前をヘブライ文字に変換し、さらに数へと変換後、それをマジックスクエア上でつなげた線から成るシジルだ。
ヘブライ文字に変換した名は、シジル作成のほかに、特殊なアルファベットで名を描く際にも用いることができる。
特殊なアルファベットとは、天使のアルファベット・秘密文字・魔法文字などと呼ばれる文字であり、魔術関連の書物に多く残されている。多くのバリエーションを含む基本的なものや、装飾性の高い記号のようなものもある。(後に記そうと思う。)
では、順を追っていこう。
目次
仮名文字をローマ字に変換する
まずはじめに、自分の名をローマ字表記する。
(ローマ字=ラテン文字。A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z のアルファベット26文字で表す文字のことをいう。日本で『アルファベット』というと、ほぼこれのこと。)
本来、名のシジルは名前(タロウ、ハナコ)だけでも、氏名(タロウ スズキ、ハナコ サトウ)でもいいのだが、日本名の場合、ヘブライ文字表記にすると名前だけでは文字数が少ないので、名前・名字両方を使うほうが形になる。
これは、ヘブライ文字は子音を表し、母音はニクードという小さな記号を文字にちょこっとつけるため、多くの母音はヘブライ文字に変換する際に省くことになるからだ。
マジックスクエアで作成するシジルは、ヘブライ文字に対応する数字のマスを順に通る線で描く。故に、2、3文字だとさまにならないのだ。
●例
タロウ スズキ
↓
TARO SUZUKI
ハナコ サトウ
↓
HANAKO SATO
君の名を、ローマ字表記しよう。
さて、先に進む前に、言っておくことがある。
人の名は、その者自身の国の文字でつけられる。日本ならば、漢字・ひらがな・カタカナで表す名だ。それを、アルファベット(ラテン文字)で表すのが、ローマ字表記である。
仮名文字は、ローマ字に変換できる。(今は小学校でローマ字を習う。)発音がかけ離れてしまうことも、あまりない。(実際には、異なる音を当てはめていることもある。たとえば、『らりるれろ』は R でも L でもない音だが、細かいことをいっては他の文字に変換など不可能になってしまうので、ここはアバウトに。)
国際社会において、また、今のネット社会においても、アルファベットで名を表すことは必要だろう。
大概の人は、クレジットカードなどで自分の名前がローマ字…アルファベットで表されているのを見ても抵抗はなく、アルファベットで書かれた他人の名前も普通に読める。
だが、その国の文字ではない代替えの文字で名を表す限り、本来の発音(読み方)と異なる場合(文字)はある。
仮名文字からローマ字への変換は比較的スムーズにいくが、アルファベットからヘブライ文字への変換はちょっと難しい。難しい、というより…少々強引だ。
そう、魔術(とくにカバラ系)における使用文字は圧倒的にヘブライ文字が多いため、
魔術で名を用いるには、
日本の仮名文字はもとより、アルファベットですら、強引な変換を要することになる。
その中には、明らかに発音の違う文字を当てはめるものもある。そうせざるを得ないのだ。(アルファベットの A (かなの『あ』)は、ヘブライ文字にない、など)
まぁ、アルファベット自体、同じ綴りでも英語とフランス語では発音が異なる文字があるのだから、無理やりの文字変換だからといって、気にしすぎることはあるまい。
大切なのは、自分の名をヘブライ文字に変換した際、
「よし、これが私の名だ」
と、君が自信を持って思えることである。
ローマ字をヘブライ文字に変換する
ローマ字→ヘブライ文字変換について
次に、ローマ字で表した名をヘブライ文字に変換する。これは、ちょっぴりトリッキーだ。
なぜなら、先ほどいったように、ヘブライ文字そのものが表すのは基本的に子音であり、ラテン文字にある子音がない、あるいは、ラテン文字にない子音(無声音なども)があるからだ。
いくつかのバージョンというか、違いのある解釈も存在するが、私は以下に記したものを用いている。気になる点・疑問があれば、ネットなどで調べ納得のいく情報を得てほしい。
この表を見てわかる通り、ヘブライ文字のアレフベートとラテン文字のアルファベットはキッチリと対応しているわけではない。
(特に、アレフ א は無声音なのだが、ラテン文字の A 、E の対応文字となっている。ほかにも、ヴァヴ ו を O、 U、 V、 W すべてに対応させていたりと、強引な感じだ。)
これらは、どこかで明確に定められている変換ルールではなく、現代までに記された魔導書の多くに記されている文字対応からきているものだ。
つまり、ラテン文字を母国語で使用する魔術師たちが、ラテン文字をヘブライ文字に変換する際に用いられてきた対応である。
言語学的観点からではなく、魔術師が用いたということで、私はこれらを使用している。要は、自分が信じるソースからの対応文字を使えばいいのだ。
自国の文字で表せない発音は、どこの文字であれ、強引な対応をさせているもの。なんとなく「そう聞こえる」から、という理由でOKというところがある。そして、それは、統一されて使われてはいない。
わかりやすい例をあげると、愛を意味する「ラブ」は、アルファベットで「 LOVE 」と書く。この V の発音は、日本語にはなく、ヴ と表記されることも多い文字だ。けれども、LOVE はラブ。「ラヴ」という表記に統一されてはいない。TH も、Thank you (サンキュー)のときはさ行の「サ」を使うが、Thomas Edison(トーマス エジソン)のときはタ行の「ト」としている。一般的に。
グダグダと言ったが、つまりは、馴染みのあるラテン文字でさえ、仮名文字と正確無比な変換は不可能なのだから、仮名文字をローマ字(ラテン文字)、さらにヘブライ文字に変換する場合、ある種の適当さとおおらかさは必要となる。
仮に、変換後の文字列を現地(ヘブライ文字を母国語で使う地域)の人に発音してもらったら、自分の名に聞こえないとしても、だ。
「ふ~ん。オレの名前、ヘブライ読みだとそんな感じなんだな。」
と思えばいい。
ローマ字→ヘブライ文字変換方法
では、実際に変換しよう。
先ほどの例、タロウ スズキの場合。
●ローマ字表記
TARO SUZUKI
一応、名前、名字の順で。
ヘブライ文字は右から左へ書くので、まずは、ラテン文字のまま右から左書きにする。
●ローマ字表記(右から左書き)
IKUZUS ORAT
(右から左に書く&読むのは慣れないかな。昔のトラックの車体にある社名みたいだ。)
次に、子音につく母音を省く。
●ローマ字表記(不要な母音抜き)
KZS ORT
不要な母音とは、基本的にア行以外の子音につくもの。
KA(カ)の A
MU(ム)の U
など。
ひとつ、注意するべきは、仮名文字をローマ字にする際に伸ばし字、あるいは、伸ばし字に準ずる母音を省いてある場合…ここの例、TARO タロウ の「ウ」は、TAROU となるところの「U」を省いてある…の子音に続く母音は省かずに残す。(TARO の 「O」など。ヘブライ文字では、O も U もともに ו ヴァヴになるので、タローでもタロウでも同じになる。)
もうひとつ、子音に続く母音を省くのは、あくまでも仮名文字をローマ字表記にした名のみ。
もともとアルファベット表記の名は、子音に続く母音は省くと決まってはいないようだ。子音に続く A は、だいたい省かれているようだが、 I は省かれない場合が多い。
(Michael(ミカエル)→ מיכאל、Gavriel( ガブリエル)→ גבריאל など。少なくとも、私の読んだ魔導書はそんな感じである。)
よって、
『子音に続く母音を省く』のは、明確なルールとしてではなく、臨機応変さを含む柔軟なものととらえておくといい。
また、ヘブライ語の解説などには、仮名文字のア行に א をあてている場合がある(アイウエオの発音はそれぞれニクードをつける。)が、ここでは…というか私は、変換表に記したように、以下の対応がしっくりくる。
ア(A) → א アレフ
イ(I) → י ヨッド
ウ(U) → ו ヴァヴ
エ(E) → א アレフ
オ(O) → ו ヴァヴ
そのほかのラテン文字で対応するヘブライ文字がひとつではない場合は、どれを使ってもさして問題はない。
もうひとつ、ヘブライ文字には語末にくると形の変わる文字が5つある。
כ (カフ)→ 語末形 ך
מ (メム)→ 語末形 ם
נ (ヌン)→ 語末形 ן
פ (ペー)→ 語末形 ף
צ (ツァディ)→ 語末形 ץ
「ファイナル~」とある文字だ。これらが名の最後にくる際には、「ファイナル~」の文字を使う。
(語末形にしなかったらどうなるというわけでもないので、気にならなければ気にせずともよい。冒頭で触れた魔法文字には、語末形のない種類のほうが多い。)
これらを踏まえて、例のタロウの続きだ。
ローマ字表記(不要な母音抜き)
KZS ORT を、
ヘブライ文字に変換する。
一文字ずつみていくと…
T → ת タヴ
R → ר レーシュ
O → ו ヴァヴ
S → ס サメフ
Z → ז ザイン
K → כ カフ → ך ファイルカフ
…となる。
●ヘブライ文字表記
תרוסזך
できあがり。
ハナコ サトウ の場合
HANAKO SATO
↓
OTAS OKANAH
↓
OTS KNH
↓
הנכסתו
こんな感じだ。
いざ、君の名を変換しよう。
ヘブライ文字を数に変換する
さて、ヘブライ文字の数への変換は、サラッといく。
に記した通り、ヘブライ文字は音だけでなく、それぞれが決まった数を表してもいる。
前項のラテン文字→ヘブライ文字変換表に、数も記してあるので、それを参考に、ヘブライ文字を数へと変換しよう。
では、おさらいがてら、タロウとハナコの例だ。
●タロウ スズキ
↓
TARO SUZUKI
↓
IKUZUS ORAT
↓
KZS ORT
↓
תרוסזך
↓
ת タヴ …400
ר レーシュ …200
ו ヴァヴ …6
ס サメフ …60
ז ザイン …7
ך ファイルカフ …500
↓
500・7・60・6・200・400
(右から左の順)
こうなる。
●ハナコ サトウ
HANAKO SATO
↓
OTAS OKANAH
↓
OTS KNH
↓
הנכסתו
↓
ה へー …5
נ ヌン …50
כ カフ …20
ס サメフ …60
ת タヴ …400
ו ヴァヴ …6
↓
6・400・60・20・50・5
(右から左の順)
こうなる。
これで、名のシジル作成の準備はできた。
7つのマジックスクエア上でシジルを作成する
マジックスクエアの選択
いよいよ、シジルを描く。
マジカルスクエア上で、だ。
まずはじめに、7つのマジックスクエアから目的に合うものを選ぶ。
君の望みの関わるエナジーを擁する天体を選び、その天体のマジカルスクエアにおける君のシジルを作成するわけだ。
闘いに勝利したいのなら火星でのシジルを、チャンスと幸運をつかみたければ木星でのシジルを、といったふうに。
★関連記事
では、実際に作成しよう。
用意するのは、シジルを作成する天体のマジックスクエアと、数で表した自分の名だ。
例として、おなじみ、タロウの数で作成する。
7つの天体それぞれにおけるシジルを描く工程を記す。
Nine Chamber
ここで必要となるナインチェインバーの表を、もう一度記しておこう。
同じ部屋にある数は、置き換えが可能である。
(100は10 or 1に置き換えてよく、500は50 or 5としてOK。)
使用するマジックスクエアの最大数以下になるよう、数を置き換えよう。
7つのマジックスクエア共通の描き方
●名の数を、順(ヘブライ文字を数に変換してあるため、右から左へ)に線でつないで描いていく。
●線のつなぎ目は、鋭角 or カーブラインで描く。
●同じ数が続く場合は、グリっと丸めて(Bの丸ふたつみたいに)描く。
(あるいは、そのマスに連続することを表せる別の描き方を自分で決めて描いてもいいだろう。)
●「 ○ 」で始め、「 | 」で終えるとされているが、まぁ…気に入らなければ却下してもかまわない。
●置き換え可能な数がふたつある場合(200なら、2か20など)は、どちらでもいい。小さい数にすることが多いが、実際にマジックスクエア上で描いてみて、デザイン的に気に入るほうでOKだ。
●ここではマス目上に描いたままだが、実際のシジルはマス目上に描いたものを転写する、あるいは、シジルを描く紙に選択したマジックスクエアをシャープペンで描き、シジルをマーカーなどで描いたのち、マジックスクエアを消して描く。
●大きさは、君の作成するシジルのサイズに合わせてOKだ。
土星のマジックスクエアにおけるシジル
土星のマジックスクエアは、3×3である。
すなわち、ここで使える数の最大は、9だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・60・200・400 は置き換えが必要となる。
400 → 4
200 → 2
60 → 6
500 → 5
このように置き換えると、
5・7・6・6・2・4 で、タロウの名のシジルを作成することになる。
土星のマジックスクエア上で描くとこうなる。
木星のマジックスクエアにおけるシジル
土星のマジックスクエアは、4×4である。
すなわち、ここで使える数の最大は、16だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・60・200・400 は置き換えが必要となる。
400 → 4
200 → 2
60 → 6
500 → 5
このように置き換えると、
5・7・6・6・2・4 で、タロウの名のシジルを作成することになる。
木星のマジックスクエア上で描くとこうなる。
6・6 のところをカーブラインではなく鋭角に描いてみた。
火星のマジックスクエアにおけるシジル
火星のマジックスクエアは、5×5である。
すなわち、ここで使える数の最大は、25だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・60・200・400 に置き換えが必要となる。
400 → 4
200 → 2 or 20
60 → 6
500 → 5
このように置き換えると、
5・7・6・6・2(20)・4 で、タロウの名のシジルを作成することになる。
火星のマジックスクエア上で描くとこうなる。
(2通り描いてみた。)
●200の置き換えを2にした場合
(5・7・6・6・2・4 で作成)
●200の置き換えを20にした場合
(5・7・6・6・20・4 で作成)
太陽のマジックスクエアにおけるシジル
太陽のマジックスクエアは、6×6である。
すなわち、ここで使える数の最大は、36だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・60・200・400 に置き換えが必要となる。
400 → 4
200 → 2 or 20
60 → 6
500 → 5
このように置き換えると、
5・7・6・6・2(20)・4 で、タロウの名のシジルを作成することになる。
太陽のマジックスクエア上で描くとこうなる。
(5・7・6・6・2・4 で作成)
マスが多くなってきたので、少し小さめにしていく。
6・6 のところをカーブラインではなく直線で描いてみた。これだと、ちょっとシンプルになるな。
金星のマジックスクエアにおけるシジル
金星のマジックスクエアは、7×7である。
すなわち、ここで使える数の最大は、49だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・60・200・400 に置き換えが必要となる。
400 → 4 or 40
200 → 2 or 20
60 → 6
500 → 5
このように置き換えると、
5・7・6・6・2(20)・4(40)で、タロウの名のシジルを作成することになる。
金星のマジックスクエア上で描くとこうなる。
(5・7・6・6・2・4 で作成)
水星のマジックスクエアにおけるシジル
水星のマジックスクエアは、8×8である。
すなわち、ここで使える数の最大は、64だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・200・400 に置き換えが必要となる。
400 → 4 or 40
200 → 2 or 20
500 → 5 or 50
このように置き換えると、
5(50)・7・60・6・2(20)・4(40)で、タロウの名のシジルを作成することになる。
水星のマジックスクエア上で描くとこうなる。
(5・7・60・6・2・4 で作成)
このマジックスクエアでは6、60と一直線に並んでいるため、少しずらして描いてみた。
月のマジックスクエアにおけるシジル
月のマジックスクエアは、9×9である。
すなわち、ここで使える数の最大は、81だ。
タロウの名を表す数は、500・7・60・6・200・400 なので、
500・200・400 に置き換えが必要となる。
400 → 4 or 40
200 → 2 or 20
500 → 5 or 50
このように置き換えると、
5(50)・7・60・6・2(20)・4(40) で、タロウの名のシジルを作成することになる。
月のマジックスクエア上で描くとこうなる。
(5・7・60・6・2・4 で作成)
どうだろう。
同じ名でも、用いるマジックスクエアによって、ずいぶんと印象が変わる。
また、置き換える数によってもだ。
君のシジルを、ぜひ作成し、魔術に活用してみてほしい。
タリスマン・アミュレットに描いたり、望む現実のシジルに付加したりと、
使い方は君次第だ。
参考:ハナコのシジル
●参考に、ハナコのシジルも記しておこう。
ハナコ サトウ
6・400・60・20・50・5
○土星のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・6・2・5・5
○木星のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・6・2・5・5
○火星のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・6・20・5・5
○太陽のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・6・20・5・5
○金星のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・6・20・5・5
○水星のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・60・20・50・5
○月のマジックスクエアにおけるシジル
6・4・60・20・50・5
Luck!